『砂の城』(すなのしろ)は、一条ゆかり原作の漫画。
『りぼん』1977年7月号から1979年7月まで、および1980年9月号から1981年11月号まで掲載された。
フランスの裕福な家庭に生まれたナタリーと、彼女の誕生日に4歳で屋敷の前に捨てられたフランシスは、兄妹同然に育てられ、やがて2人は惹かれ合う。はじめは強く2人の交際に反対していたナタリーの父親も交際を公認するが、3年にわたって家を離れて学業を修めたフランシスの帰省直後、両親2人が事故で帰らぬ人となる。後を任された叔母の強硬な反対に2人は死を決意し、絶壁から飛び降りてしまう…。奇跡的に救助されたナタリーが、行方不明となったフランシスの面影を胸に学生生活を送っていたある日、彼を見かけたとの噂を聞く。ナタリーが訪ねてみると、記憶をなくしたフランシスは結婚し、男の子が生まれていた。フランシスはナタリーを見て記憶を取り戻すが、その直後に交通事故で帰らぬ人となり、彼の妻も後を追う。残された子に「フランシス」という名前をつけて引き取るナタリー。やがて、青春時代を迎えたフランシスはナタリーを意識し始め、そしてナタリーもまた……。
Wikipediaより引用させていただきました。
引用元:砂の城 一条ゆかり
久しぶりに本棚から引っぱり出して読んでしまいました。
今読み返してみても、この作品が当時小学生も読んでいた少女雑誌「りぼん」に掲載されていたとは驚きです。
私もリアルタイムで読んでいた時は小学生だったので(笑)
当時は友達の間でも、キャンディキャンディが大人気の「なかよし派」と「りぼん派」に別れていました。
私の家は当然、漫画雑誌を買ってくれるような家庭ではなかったので😅
「りぼん」や「なかよし」はお友達に借りて学校の休み時間やお友達の家に遊びに行った時に読ませてもらってました。
なので、借りて読む私にとっては、どちらの派閥にも属さない人間でした(笑)
でもたくさん面白い漫画があった記憶がありますが、やっぱり「砂の城」は特別。
当時小学生だった私にとっても凄いインパクトのある作品で、内容自体は全く理解できていなかったのでしょうが、一条ゆかり先生の画力の美しさと、外国があることさえ実感していない田舎者の私にとって、異国の風景やおしゃれな登場人物たちに憧れた記憶だけが鮮明に残っていました。
主人公であるナタリーとちびフランシスを中心に、ナタリーの親友エレーヌ、編集長のロベール、精神科医のミッチェル、画家のヴォージュ(後のフランシス親子の父親・祖父)
ちびフランシスの親友フェラン
後にナタリーとちびフランシスにとってトラブルの元凶となる我儘だけど可愛すぎるミルフィーヌ
登場人物たちの設定がフランス人でみんな魅力的なんですよね。
でもストーリーは……
次から次へと最悪な展開を繰り返すレディースコミック真っ青な内容でもあり、昭和の小学生も読む漫画雑誌「りぼん」にこの作品が掲載されていたとは……
おばあちゃんの年齢になった2023年の令和に読み返してもやっぱり驚きです。
大人な恋愛、歳の差恋愛、幼児虐待、嫉妬や憎悪、精神疾患、ストーカー、LGBT……
昭和の小学生には絶対に理解できない(笑)
今ではLGBTや精神疾患も一般的に認知されているし、ストーカーも社会問題化されているけれども、この漫画……
46年前の作品なのですよ‼😆
一条ゆかり先生はやっぱり凄いなぁ~と思うのです。
昔はちびフランシスとナタリーに幸せになって欲しくて、二人の間に割って入るミルフィが可愛い顔して我儘でとても嫌な女の子に思えましたが、大人になって読み返すと、気分屋なナタリーの周りを振り回す態度もたいがいで、おまけにフランシスがちび助の頃に風邪を引くシーンでの冷たく当たるシーンなんて「虐待だろ‼」って思いながら凄く嫌な気分にさせられるメンヘラで最悪な女だと思ったりするんですよ(笑)
今回も数年ぶりに読み返してみて、ナタリーやミルフィの台詞や態度にはムカつき、一途過ぎるフランシスが愛おしく思えたり時にはイラつき、脇役でもあるエレーヌやフェランの台詞にはグッとくるものがいっぱいありました。
2代目フランシスは、ちびフランシスの頃のイラストも天使みたいに可愛く一途過ぎて愛おしいだけど……
「雨は嫌いなんだ」
の台詞の後の青年フランシスになるとちょっと色々と鈍すぎてイラつくんですよ😄
漫画「砂の城」の記憶に残る台詞
ちびフランシスと一緒に海岸で砂の城を作る場面。
波にさらわれて砂の城が崩れてしまうことをちびフランシスに注意されるナタリー。
ナタリーが「波の届かない場所で作ればいいのに」とちびフランシスに言うと「ダメだよ、砂が乾いているから作れないんだ」と言われてナタリーが放つ言葉。
「皮肉なものね、安全な場所では作れなくって、作れる場所では波がさらって壊すなんて……まるで…人生を作っているみたいね」
「人生なんて砂の城のようなものなのかもしれないわね。つくってもつくっても、いつの間にか波がさらってしまう。いつも同じことの繰り返し…」
「誰もが…そうして年をとっていくのかしら」
読後に爽快な気分にさせてくれる内容の漫画作品ではありませんが(むしろずっと暗い気持ちのままエンドをむかえるのかもしれません)
それでも、数年ごとの定期的に読みたくなってしまう私のおススメの漫画でもある
一条ゆかり先生の「砂の城」
昭和時代の漫画だけど、令和5年の今見ても古臭さを感じさせない画力はさすがです。
時間がある時に是非読んでみて下さい😊
あと、一条ゆかり先生の「デザイナー」も確か救いのない悲劇的な内容だった気が……
もう一度、読み返したい‼